スタジオのブラックボックス化

カメラとストロボ

スタジオで最初にすること

スタジオでストロボだけを使って撮影をするには、ストロボ光以外の光の影響を取り除く「ブラックボックス化」を行う必要があります。

ブラックボックス化は、変化しやすい外光を遮光したり、照明を暗くしたり、定常光が写真に影響しないようにカメラの撮影条件を設定したりすることによって行います。

それでは、Yumox流のスタジオでのブラックボックス化について説明します。

ブラックボックス化の手順

  1. できるだけ暗くする
  2. シャッタースピード優先(1/125)にする
  3. カメラで「ISO」「絞り値」を測る
  4. マニュアルモードに「適正露出値」をセット
  5. 「適正露出値」から約4EV暗くなる設定にする

以下に詳しく説明します。

ブラックボックス化手順の詳細

1. できるだけ暗くする

最初に、時刻や気象によって変化が大きい「外光」は、露出に影響しないよう、できるだけ遮光します。

それから「ピント合わせ」や「機材の操作」ができる最小限の明るさを確保します。

※露出に影響するような、フリッカー現象を伴う「LED照明」「蛍光灯」は、消すことをおすすめします。

※シャッタースピードを遅くしたり、ISOを上げることにより、定常光を撮影に利用する場合は、演色性の良い、ストロボ光に色温度が近い撮影用ライトを使うことをおすすめします。

2. シャッタースピード優先(1/125)にする

「シャッタースピード優先モード」で、シャッタースピードを1/125にします。

1/125というシャッタースピードは、「ブレ」「無線通信のタイムラグ」「カメラによって異なるストロボ同調速度」に配慮した比較的安全な値です。

3. カメラで「ISO」「絞り値」を測る

カメラを半押しすると、定常光の適正露出として「絞り値」「ISO」が表示されますので、メモします。

※「絞り値」が決まっている場合は、絞り値も固定してください。

4. マニュアルモードに切り替え、「シャッタースピード」「絞り値」「ISO」をセット

カメラを「マニュアルモード」に切り替えます。そして、シャッタースピードに1/125絞り値ISOには、メモした値をセットします。

5. 適正露出から約4EV暗くなる設定にする

定常光の露出の影響がなくなるように、「絞り値」を絞って暗くしたり、「ISO感度」を下げて暗くすることにより、適正露出から約4EV暗い設定にします。

できれば中間値ではなく、絞りであれば F2.8, F4, F5.6…、ISO感度であれば ISO100, ISO200, ISO400…のように「段」ごとの値を選ぶほうが計算がしやすいのでおすすめです。

中間値というのは、F3.2, F3.5…など「段」の間の値です。

※画面内に強い反射など照度の高い部分があるときや、照度の差が大きいときは、+4EVではブラックボックス化できない場合があります。その場合は、明るい部分が目立たない場所を探すか、または、さらに+1~2EV程度EV値を増やしてください。

では、具体的な調節方法を説明します。

【ブラックボックス化】調節方法

「絞り値」を2EV絞って暗くし、「ISO」を2EV下げて暗くして、合計4EV暗くしてみよう

「絞り値」を6クリック(2EV)絞り、「ISO」を6クリック(2EV)下げます。

例: 適正露出値が「ISO800 、F2.8」の場合

ISO800 → ISO200(2EV暗くなる)、F2.8 → F5.6(2EV暗くなる)

「絞り値」を1EV絞って暗くし、「ND値」を3EV暗くして、合計4EV暗い設定にしてみよう

「絞り値」を3クリック(1EV)絞り、「ND8フィルター」(3EV)を使います。

例: 適正露出値が「ISO400 、F2.8」の場合

ISO400 → ISO200(1EV暗くなる)、F2.8 → F2.8(0EV)+ND8フィルター(3EV暗くなる)

テスト撮影し、定常光の影響がない状態になれば、「ブラックボックス化」の成功です。

トラブルシューティング

  • ブラックボックス化によりライブビューが暗くなるとき(ミラーレス)
    表示に関するメニューで、EVF/液晶表示の「露出効果反映」「露出(表示)シミュレーション」機能などをOFFにします。

用語解説

演色性】物が光を受けたときに、人が感じる色の見え方の指標。例えば蛍光灯/電球それぞれの下でセーターの色が違って見える場合があるように、光源の色温度や色分布などが変わると太陽光下で見るときのような本来の色と見え方が異なることがあります。このような現象を演色性と呼びます。

EV値】撮影時の露出を表す指標で、Exposure Valueの略称です。EV値は、ISO感度、絞り値、シャッタースピードの設定によって決定されます。
EV値は、光の量を表す数値であり、明るさと暗さの比率を対数関数で表したものです。一般的に、明るさが1段階増えるごとにEV値は1つ上がり、暗さが1段階増えるごとにEV値は1つ下がります。

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