「ハイスピードシンクロ」ってどういう仕組みなの?
ハイスピードシンクロは、メーカーによってはFP発光、スーパーFP発光などとも呼ばれます。
「ハイスピードシンクロ」の説明の前に、シャッタースピードについておさらいすると分かりやすいです。
開いて閉じるまでの時間が、シャッタースピードだよね。
正確に言うと、シャッターユニットは2つの幕、「先幕」「後幕」で構成されていて、「先幕」が開き、「後幕」が閉じるまでの時間がシャッタースピードです。
「先幕」「後幕」って聞いたことがあるな。
例えば、シャッタースピードが「1」の場合、先幕が開いて後幕が閉じるまで1秒ですが、「1/2」の場合は何秒でしょうか?
1/2秒。
そうです。「1/125」の場合は1/125秒。では「1/500」の場合は1/500秒ですか?
それは違うはず!
正解! 1/500は「 ストロボ同調速度 」を超えてますね。「ストロボ同調速度」というのはカメラによって異なり、だいたい1/160~1/320くらいですが、それを超えるとシャッターの動き方が変わります。
どうなるの?
「ストロボ同調速度」を超えると、シャッタースピードが速くなるに連れ、それまで全開だった先幕と後幕の間隔が徐々に狭くして露光時間を短くしているんですね。
シャッターユニットは、先幕と後幕の間隔を狭めスリット状にして移動させることで、高速なシャッタースピードを実現しています。
しかし、このこのスリット移動は、ストロボにとっては困った事態を引き起こします。ストロボは数百から数万分の一の閃光なので、スリットの間しか通り抜けれらず、撮像素子全体を万遍なく露光できません。
ハイスピードシンクロに対応していないカメラやストロボの場合は、シャッター幕が写り込んでしまう「幕切れ」と言う現象が起こります。
これを解決するのが「ハイスピードシンクロ」機能です。スリットが移動している間も連続して発光し続けることで、撮像素子全体を露光します。
スリットが移動している間、ずっと光ってるってこと?
そういうことですね。スリット幅が狭まるほど、ハイスピードシンクロの光はシャッター幕に遮られるわけですから、ロスの大きい発光方式となります。
単純に、高速シャッターでもストロボが使えるってことだけだと思ってた。
HSSやFPをオートにしていると、ストロボ同調速度を超えても勝手にHSSやFP発光に切り替わって光ってくれるので、あまり気にも止めなかった方が多いと思いますが、実はこのように発光方式に大きな変化があったんです。
「ハイスピードシンクロ」は大きなエネルギーを必要とする発光方式なので、多用し過ぎると、電池の消耗が早くなったり、発光間隔が長くなり、大事なシャッターチャンスを逃してしまう可能性があります。
ストロボ発光部全面のフレネルレンズが焦げたり溶けたりするなどダメージを受けることもありますので、使い過ぎには十分ご注意くださいね。