スローシンクロ

カメラとストロボ

スタジオや屋外でのスローシンクロ設定の仕方についてまとめました。

スローシンクロ(Slow Sync)とは、遅いシャッタースピードとストロボを同時に使用することですが、それによって被写体と背景をバランスよく露出させることができます。スローシンクロは、例えば夜景写真やポートレート写真などでよく使用され、前景の被写体だけでなく、背景の環境も重要な要素として取り入れたい場合などに役立ちます。

通常、ストロボは非常に短い時間(数百分の一から数万分の一)で光を発し、被写体を瞬時に照らしますので、シャッタースピードを速く(1/60以上~、メーカーや機種によって異なる)して撮影します。その結果、背景が暗くなることがあります。
一方スローシンクロでは、シャッタースピードを遅くすることによって、被写体に加えて背景も明るく撮影することができます。これにより、被写体がストロボで明るく照らされつつ、周囲の背景も適切に露出される自然な写真を撮ることができます。

また、スローシンクロのもう一つの使い方として、被写体の軌跡を明るく描き、背景に動的な効果を与える撮り方もあります。被写体の動きを美しくまたは躍動的に捉えられ、かつ時間経過も表現できる独自のクリエイティブな写真が撮れます。

この記事では、「夜景写真を撮る」スローシンクロと「被写体の軌跡を描く」スローシンクロの2種類の設定の仕方についてまとめました。

なお、カメラによっては、スローシンクロモードを有効にすることでスローシンクロ撮影ができますが、ここでは割愛します。

夜景写真のスローシンクロ

設定の仕方

1. 背景の光が多くきれいな場所を選ぶ

夜間、背景に光が多くきれいな場所を選ぶ。照明に照らされている建物やイルミネーションなど。

2. 背景に露出を合わせる

背景に露出を合わせる。

ISOを低感度にしたい場合は、シャッタースピードを遅くしてください。その場合は被写体ブレに注意をしてください。

※状況に応じて三脚を使用してください。

3. ストロボ光量を決める

ストロボの光量は、主に被写体の露出に関わります。絞り値とISOはそのままにして、一旦、シャッタースピードだけを1/125に変更し、被写体が適正露出になるようストロボ光量を調節します。

4. シャッタースピードを戻す

2.の「定常光に露出を合わせる」ときに設定したシャッタースピードに戻し、撮影する。

背景露出の調節方法

1. 背景を暗くするには

①絞り値を絞ったり、ISOを下げたりし、その分ストロボの光量を増やす。

②シャッタースピードを速くする。

2. 背景を明るくするには

①絞り値を開いたり、ISOを上げたりし、その分ストロボの光量を減らす。

②シャッタースピードを遅くする。

設定変更のコツ

・FまたはISOを変更するときは、変更値に応じてストロボ光量を調節する。

・SSを変更するときは、ストロボ光量は変更しない。


次に被写体の軌跡を写すスローシンクロについてまとめました。この方法は、ダンスやお祭りの写真などによく使われることがあります。

被写体の軌跡を描くスローシンクロ

被写体の軌跡を描くスローシンクロの場合は、まず被写体が動いていることが前提となります。

上の写真を例に説明すると、止まっている部分はストロボで露光されたおり、ブレている部分はスローシャッターによって定常光で露光されています。
ストロボが発光した瞬間に、動く被写体はストロボの閃光時間の短さによって静止して写ります。その後、被写体の動きはスローシャッターによって定常光で露光されブレとなって写ります。※ストロボの閃光時間についてはこちらを御覧ください。

設定の仕方は以下となります。

設定の仕方

1. 暗い場所で撮影する

暗くするには撮影する部屋を「遮光」するか、屋外など遮光できない場所なら「NDフィルター」を使います。背景は、被写体の軌跡が分かりやすくなるように、なるべく暗い背景にします。

2. 定常光に露出を合わせる

シャッタースピード、絞り値、ISOの順に設定する。大切なのはシャッタースピード。シャッタースピードは、被写体がどんな動きをするのか、写真にどのような軌跡を描きたいのかといったことを考えて決めます。※意図しないブレが発生するほどシャッタースピードが遅くなる場合は、三脚を使用してください。

シャッタースピードを決めたら、次に絞り値、ISOの順に設定します。

3. ストロボ光量を決める

ストロボの光量は、主に被写体の露出に関わります。絞り値とISOはそのままにして、一旦、シャッタースピードだけを1/125に変更し、被写体が適正露出になるようストロボ光量を調節します。

4. シャッタースピードを戻す

2.の「定常光に露出を合わせる」ときに設定したシャッタースピードに戻します。

5. 被写体の動きに合わせフレーミングする

被写体の動きを予測したり、事前に確認するなどして、被写体と軌跡が画角に収まるようにフレーミングします。何度か試行錯誤が必要になります。

背景(被写体の軌跡)の調節方法

1. 背景(被写体の軌跡)を薄く(暗く)するには

①絞り値を絞ったり、ISOを下げたりし、その分ストロボの光量を増やす。

②定常光を暗くする。

③シャッタースピードを速くする。

④被写体が速く動く。

2. 背景(被写体の軌跡)を濃く(明るく)するには

①絞り値を開いたり、ISOを上げたりし、その分ストロボの光量を減らす。

②定常光を明るくする。

③シャッタースピードを遅くする。

④被写体がゆっくり動く。

設定変更のコツ

・FまたはISOを変更するときは、変更値に応じてストロボ光量を調節する。

・SSを変更するときは、ストロボ光量は変更しない。

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