晴れた日にストロボで顔の影を明るくしたかったのに、画面全体の下半分が暗くなって…
「画面の(上か下)半分が暗くなる」のは「幕切れ」という現象です。
幕切れ?
「幕切れ」の「幕」というのは「シャッター幕」のことで、写真にシャッター幕が写ってしまっている状態です。
どうしてそうなったんだろう…
カメラでストロボが使えるシャッタースピードには限界があって…
えっそうなの!?
そうなんです。それを「ストロボ同調速度」などと言いますが、それを超える速いシャッタースピードで切ると「幕切れ」になります。
因みにカメラ機種によって「ストロボ同調速度」は異なります。
そんなことに(汗)…じゃあ、「幕切れ」を防ぐには、どうしたらいいのかな?
撮影条件は?
F5.6、1/2000、ISO100です。
もう少し絞れますか?
被写界深度をできるだけ浅くしたいので、これ以上絞りたくはないんだけど。
なるほど、では2つ方法があるんですが、1つは「NDフィルターでシャッタースピードを落とす」、もう1つは「ハイスピードシンクロ」です。
えーっと、どっちが良いのかな?
おすすめは「NDフィルターでシャッタースピードを落とす」方法なので、それをご説明します。
もう1つの「ハイスピードシンクロ」はまたの機会に。
川や波の写真を撮るときに使うNDフィルターのことですよね?
そうです。NDフィルターは、レンズに入る光の量を減らし、画質を落とさず画面全体を暗くすることができます。
”ND”を使うとシャッター速度を1/125まで下げられます。ストロボ撮影にもよく使うんですよ。
そうなんだ。「1/2000から1/125」となると1/2000 → 1/1000 → 1/500 → 1/250 → 1/125だから……4EV暗くするということだよね…?
次の「計算に必要な要素」にある通り「ND16」を使うと4EV暗くできます。
計算に必要な要素
シャッター スピード | 1/125 | 1/250 | 1/500 | 1/1000 | 1/2000 |
Tv値 | +7 | +8 | +9 | +10 | +11 |
NDフィルター | ND2 | ND4 | ND8 | ND16 | ND32 | ND64 | ND128 | ND256 | ND500 | ND1000 |
ND(EV)値 | +1 | +2 | +3 | +4 | +5 | +6 | +7 | +8 | +9 | +10 |
なるほど、そういうやり方があるんですね。
ND16で4EV暗くできるので、シャッタースピードを1/2000から1/125まで(4EV)落とせますよ。
ぜひやってみてくださいね。
EV値で計算してみると…
EV値の計算式: EV値 + ISO値 = Av値 + Tv値 + ND値
ISO値を右辺に移す。
EV値 = Av値 + Tv値 + ND値 -ISO値
撮影条件:F5.6[5]、1/2000[11]、ISO100[0] を入れます。
EV値 = Av値[5] + Tv値[11] + ND値 -ISO値[0] = 16
ND16フィルター[4]を追加し、シャッタースピードを1/125[7]に下げます。
EV値 = Av値[5] + Tv値[7] + ND値[4] -ISO値[0] = 16
EV値を変えずに、ND16を使ってシャッタースピードを1/125に落とすことができました。
「幕切れ」が発生したときは、NDフィルターを使って「ストロボ同調速度」以下にシャッタースピードを落とせます。
※もう一つの対処方法はハイスピードシンクロ機能を使うこと。